消防署の立入検査はどのように対応したら良いか?

防火・防災管理

ある日突然、消防署から建物のオーナーへ「物件を立入検査したい」と依頼されることがあります。

経験がない方はどう対応して良いか分からず、困惑してしまうことでしょう。

ですが、安心してください。

あなたが特に悪意のあるような行為をしていなければ問題ありません。

もし、知識不足により物件に消防法上の欠陥があったとしても改善に努めれば良いのです。

消防立入検査時の対応

消防立入検査の流れ

一般的な消防立入検査の流れは以下の通りです。

  1. 消防署から電話連絡
  2. 立入検査日時の打ち合わせ
  3. 現地立入検査の実施、関係者へ物件に関するヒアリング
  4. (後日)立入検査結果の通知。(不備があれば)改善計画書の提出を要求される。
  5. 改善計画書の提出
  6. 不備事項の改善を実施
  7. 改善に応じた消防届(設置届、点検報告書提出など)を行う。
  8. 消防署による現地再検査(ない場合もある)
  9. 改善完了

立入検査の結果、何もなければ問題ありませんが、指摘があった場合は「改善計画書」を提出しなければなりません。

改善計画書の記入例は下記参照ください。様式は行政により異なりますのでご注意ください。

改善計画書(記入例)/参照:宮城県黒川地域行政事務組合消防本部HP

改善計画書の提出は期限が求められることが一般的です。

期限までに改善事項を完了させることができたら良いのですが、大規模な工事や納期の掛かる部品があるなど、期限までに完了させることができない場合は改善予定日を記載しましょう。

よくある指摘事項

物件所有者様からご相談が多い指摘事項を紹介します。

消防設備点検・報告の未実施

物件所有者様で消防設備点検(および報告)ができていない方が意外と多くいらっしゃいます。

消防設備点検は半年に1回ずつ点検し、消防署へ報告しなければなりません。(報告周期は物件用途に応じて1年に1回 or 3年に1回のいずれか)

点検資格を持っていなくても点検ができる防火対象物

次のどちらにも該当しない防火対象物は、建物の関係者であればご自身(無資格者)でも点検することができます。

  • 延床面積1,000㎠以上の防火対象物
  • 地下または3階以上の階に特定用途があり、且つ階段が屋内に1箇所しかない防火対象物

ただし、設備によっては無資格者で点検することが難しいものもあります。

不良があった場合の修繕を考えても、お近くの点検会社に依頼することをお勧めします。

点検時の不良が改善されていない

点検、消防報告はしているものの、不良箇所を長年改善できていないケースも指摘の対象になりやすいです。

まずは点検を依頼している業者さんに見積りをお願いしましょう。点検契約をしているのであれば親身に対応してくれるはずです。

指摘事項は消火器に関するものが多い

消火器は比較的小規模な物件でも設置が必要なため、指摘事項にあがることが多いです。

指摘に上がった消火器は大抵、交換することになるケースが多いです。

消火器に関しての不良改善はご自身で対処することも可能ですので下記記事を参考にしてください。

防火管理者の未選任

防火管理者の未選任を指摘された場合は、建物の関係者の誰かを防火管理者に専任しなければなりません。

防火管理者は「甲種」と「乙種」の二種類があります。ざっくり分けると下記の通りです。

  • 甲種防火管理者・・・比較的大きい建物に選任が必要 二日間の講習が必要
  • 乙種防火管理者・・・比較的小さい建物に選任が必要 一日間の講習が必要

詳しくは松戸市の公式HPの資料(防火管理者 甲種・乙種 フローチャート)が分かりやすいので参照ください。

防火管理者選任(解任)届の記入例は下記参照ください。

設置義務のある消防設備が設置されていない

増築・改築による消防設備の不足

建物を増築・改築した際に、消防設備の設置要件を満たしてしまっていることに気付かないケースも稀にあります。

まずは増改築を依頼した業者さんへ相談してみましょう。工事発注時の取り決めなどによっては協力的に動いてくれるかもしれません。

用途変更による消防設備の不足

また、建物の用途を変更した場合なども新たに消防設備を増設・新設しなければならないケースもあります。

まずは消防設備点検を依頼している業者さんへ相談してみましょう。点検契約をしているため親身になってくれるはずです。

点検業者さんが工事できない場合は、地元の消防設備業者(施工店)を紹介してもらいましょう。

立入検査時に気をつけること

消防署の立入検査時に注意すべきことは、主に下記のような事項です。

  • 避難経路に物を置かない
  • 消火栓の前に物を置かない
  • 消火器が物なので隠れていないか確認する
  • 消火器の標識が無くなっていないか確認する
  • 誘導灯や表示灯が消えていないか確認する

上記は立入検査時に消防職員がよくチェックする事項ですので、検査前に改善しておきましょう。

身近に相談者がいない場合は・・・

身近に相談者がいない場合は、管轄消防署の指導課、予防課を訪ねてみましょう。

消防署もあなたの物件の指摘事項については改善して欲しいので、あなたのお困りごとのアドバイス、最適解を導いてくれるはずです。

消防署はあなたの敵ではなく味方なのです。改善意欲のある前向きな態度には協力的になってくれるはずです。

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